銀シャリ工房

独り言をネットの海に放流しています

初めて9万字超えの小説を書いたのでプロットから清書までの流れを記録した

 題名通りです。

 

 オタク故にSNS上で二次創作をしています。

 投稿する作品はイラストか漫画で、小説は3年ほど前に3万字と5千字の2作を書いたきり。
 そんなズブズブの字書き初心者でも、2ヶ月半で9万字書けたという報告です。参考になるかは分かりませんが、「長編小説ってハードル高そう……」と迷っている方の背中を押すものになれたら幸いです。

 (といっても、あくまで個人の作業報告なので「本格的に小説を書きたい!」「技法を学びたい!」といった方は他のサイトを巡ったほうが参考になると思います。「ふーんこうやって書くオタクもおるんやな~」ぐらいの気持ちで読んでね)

 

 ◇きっかけ

 そもそも絵や漫画がメインなのになぜ小説を?というところですが、「話のスケールが膨らみすぎて漫画でもかなりのページ数がいるし、テーマ的に文章で表現した方が面白そうだな~」と思ったことがきっかけでした。

  1. 漫画に使用するネタの話が結構膨らむ。
  2. 自分でも気に入ったのでキャラの設定も掘り下げる。
  3. キャラの心情描写するなら小説の方が隅々まで描けそう。

 字数については「長編が読みたいし書きてえ……」という特大感情のもと、一般的に長編作品とされる8万字を目標としました。私が読みたい話は私が書くのが一番手っ取り早いですからね(白目)。まあ結果的に大幅にオーバーして9万字超えになります。

 

◇執筆期間

 といっても、「いきなり8万字書けるのか?」となったので、ひとまずプロットを組み立てるところから始めました。
 プロットを書き上げたのち、話が連なるよう下書きをして、清書して推敲する…といった作業工程になります。

 大別すると、

  1. プロット作成【12月上旬~下旬】
  2. 下書き【1月上旬~中旬】
  3. 清書【1月中旬~2月中旬】

 ちょうど2か月半ぐらいでしょうか。当初の目標では2月上旬に締め切りを設定していましたが、こちらも字数が増えるに伴って目標の日付を超えました。スケジュール管理は大事だ。

 

 ①書く準備をしよう

【使用したソフト】

1.Story Editor

 アウトラインプロセッサフリーソフトです。章別にまとめるときとても見やすい!
伏線や設定も個別に格納できたので、プロットを練り上げるとき大変お世話になりました。

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mnabe.net

 

2.Word

 お馴染みOfficeソフト。
 文章校正とかはWordの方が使い慣れてたのもあって、Story Editorで作成した下書きをWordで清書していました。

 

3.スマホのメモ帳

 閃いた小ネタや追加要素を普段使いのスマホアプリのメモ帳に書き綴っていました。

play.google.com

 

 

【プロット作り】

 個人的にプロットを書くのは一番好きな作業です。話を膨らませるのが好きな一方で、作るだけ作って満足していた(=作品にはしなかった)オタクなので、今回は「自己満足に留めず人様が読み飽きない構成にするぞ!」と意気込んで挑みました。

 

 プロットでは以下のことを決めました。

  1. 作品全体のイメージを固める
  2. 作品内の経過年数
  3. 登場キャラ数
  4. 構成の配分

 以下に順を追って説明していきます。

 

① 作品全体のイメージを固める

 ざっくり「書きたいテーマ」「入れたい描写」の2点を決めます。

 今回のテーマは「紆余曲折を経てのハッピーエンド」「想いを伝えることの困難さ」「人は正解を選んで歩くことはできないが、選んだ道を正解にしていくことはできる」でした。文章にすると濃いし重いわ!!

 入れたい描写については、それこそ「原作で見たかったAとBのやり取り」(今回は二次創作小説なのであえてこう表記します)でも良いですし、「ご飯を一緒に食べるAとC」とかでも何でもありです。自分が書きたい描写を入れるのはモチベにも繋がると思います。己のオタク心の本能に従って、好きなものを詰め合わせたお弁当箱のごとく自由に入れちゃいましょう。

 あと入れたい描写については執筆中に膨らんでくることもあるので、当初予想していなかったものでもストーリーの筋道を妨げないものなら気にせず取り入れていました。趣味で書くものは己の好きなものを書くのが正解なんじゃよ(大の字)

 

 またテーマとは微妙に違うんですが、「読み終わった後にどういう気持ちにさせるか」も意識しました。作品全体の雰囲気づくりをこの時点で意識してたほうが後々齟齬が生まれにくいと思います。

 

② 作品内の経過年数

 時間軸を設定します。今回は序章~終章で1年半を描き、エピローグでは5年経った設定としました。時間の経過に伴い発生するイベント(高校卒業だとか就職だとか)をまとめて、年表のようにしておくと便利です。

 

③ 登場キャラ数

 キャラを増やしすぎると後々収拾がつかなくなることが予想されたので絞りました。小説初心者の私が後付けでキャラ増やすと話が破綻しかねないので…。

 また登場させる割合も決めておきます。

 主人公、キャラA>主人公の家族、キャラB(2章と4章)>キャラC(3章でのみ登場)

 といった具合です。

 

④ 構成の配分

 (私は)あんまり得意ではない構成作りです。

 初めての長編ということで起承転結を意識しました。

 

  起=AとBが出会う。

  承=親交を深めるなかで、AはBの過去が気になってゆく。

  転=Bは過去と秘密をAに打ち明け、Aを遠ざけてしまう。

  結=Aは抱えてきた気持ちを伝え、Bと仲を戻す。

 

 上記のように内容を簡素にまとめ、配分も決めておきます。

  起:承:転:結=1:2:2:1

 配分をもとに「最初と最後の章は簡素に、承と転に当たる章は濃く描写しよう」と、ぼんやりイメージしながら章を設定しました。

 あと今回はがっつりストーリーがあるものだったので「物語の最初と最後で変わった点」を具体的に考えながら書きました。主人公の精神面での成長とか、AとBの関係性とか。(といっても日常を描いた短編小説や、所謂カップリング作品で二人の絡みに重きを置いた作品等はこれを無理に意識しなくていいと思います。)

 

 ①~④までを一通り済ませたらあとは箇条書きに綴っていくだけ!

 「伏線をここで入れればエピローグにつなげられそう」「ここの描写はAとCの会話後のほうが魅力的に伝わるかも」という具合に、浮かんだことをあれこれ考えながら進めていくのが楽しかったです。

 

②実際に書いてみる

 

【下書き】

 プロット段階では箇条書きだった文章に肉付けして、お話にしていきます。といっても具体的にどうすりゃいいのさ~という部分なので例を出します。

 

 例えばプロットに「午後五時に公園でBとの待ち合わせをするAのシーン」の文があるとします。

 この場合「午後五時」を描写するとしても、そのまま「午後五時」と表記するだけで終わらせて、後に続くAの心情を掘り下げるか。それとも「茜色に染まった公園には帰路に就く小学生の姿がぽつぽつと見受けられる」といったように、午後五時の情景を表現するか。あるいは両方書いてしまうか。

 詰め込む情報量のバランスもありますが、書き手の好みで書いてしまっていいと思います。しいて言えば、章の中でテーマにしているものに重きを置いて描写していると尚良いのかなあと。

 

 あと文体。

 私は耽美な純文学作品のようなはんなりとした表現や、柔らかく可愛らしい甘い文体も書けないので、「分かりやすく、なおかつ単調でない」文体を目指しました。文体の幅も増やしていきたいですね…。

 

 幾度も一人で読み直して悶々とする作業の連続なので、「書き上げただけで満点」ぐらいの気構えのほうが精神的に楽です。趣味で書いてるものなので「書きたいことを書くことが目的、世に出すことが目標」ぐらいの気持ちでええと…思います…。

 最初のころは2千字書くので精いっぱいだった作業スピードが、終盤は1日8千字ぐらい書けるようになったのは嬉しかったです。

 

【清書】

 下書きを乗り越えた先に清書が待ち受けています。
 Wordで文章構成するもよし、一晩時間をおいてから読み返すもよし。

 私は推敲に予想の倍ぐらい時間を取られたので、次回以降はしっかり時間の見積もりをしておくことにします。

 

【プロット~清書までで心がけたこと】

  1. プロ作家の小説を読む。
    起承転結の配分や、字数の区切りなどは大変参考になりました。
    商業作家の作品のクオリティに触れると「私もこんな作品を作ってみたい!」とやる気が増すタイプなので休日はお気に入り作家の文庫を読み耽っていました。

  2. 表現や言い回しについて推敲する。
    自分が辞書を引かないと分からない言葉は今回使用を控えました。(もちろん人様の小説で知らない単語が出てきたとき、単語を調べて知識を増やすのも小説の醍醐味ですけども!)あと比喩なども分かりやすいものを心掛けました。

  3. 序章から終章まで、順番に書き進める
    好きな場面から書きたいのをこらえて、話がちぐはぐにならないように順番に書き進めました。

 

 

③完成させるために

 

 書いてる途中はどうしてもモチベを保つのが難しくなるので、下記の事項を実践しました。

 

1.締切を設定する。

 終わりがあったほうが自分の気持ちも高まる(ような気がする)。

 先述した通り2月上旬の完成予定が見事に伸びて2月中旬になりました。

 

2.章が終わるごとにSNS上に投稿する。

 これは人によって向き不向きがあると思います。私の場合は一つ章が終わるごとに外部サイトにまとめて投稿しました。

 毎週ほぼ日曜に投稿していたので、実質連載ものの感覚で書き進められました。

 (あそこで反応をくださったフォロワーの方々ありがとうございました。)

 

3.イメソンを聴く

 作品に没入するときはイメソンを聴いてなんぼでしょ(特大主語)。

 MAD文化に触れて学生時代を過ごしたのでイメソンを流すと脳内MADが出来がちです。今回よく聴いたのはこの辺です。

 

www.youtube.com

 

消せない気持ち

消せない気持ち

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愛しい人へ

愛しい人へ

  • タイナカ サチ
  • J-Pop
  • ¥255
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 推敲を終えたら、SNSや専門の小説サイトに投稿して終了!
 長い道のりだったぶん、書き上げた後の達成感が大きいです。この達成感が病みつきになってまた小説を書くんだろうなあ(遠い目)
 書いている間に別のネタもたくさん浮かんだので、これからもぼちぼちと書き続けていきたいな~!

 

 

 それでは今日はこのあたりで。